大学生に合唱指揮レッスン

この日は台風直撃で交通が混乱状態だったのですが、早稲田大学、国学院大学の合唱団で活動されている(orいた)皆さんに合唱指揮のレッスンをということで、行ってきました。

大学合唱団指揮者のみなさんに指揮のレッスンをする会は留学以降毎回一時帰国するごとにやっていて、今回が4回目でした。

グループレッスン形式で、計6名の指揮者さんをみさせていただきました。現役学生指揮者、これから学生指揮者になる予定の2年生、そして卒業後も合唱活動をしている若手指揮者など、それぞれに異なる背景があり全く6者6様の内容。みているこちらも勉強になる、興味深いセッションでした。

教えさせて頂く側としてすごく嬉しかったことは、6名全員とも、最初に振ったときからすでに固有の音楽を身体で感じていることがよくわかったこと。故にこちらも引き締まった気持ちで、彼らの音楽に向き合い、それを現実の音としてどのように引き出すことができるか、という処を共に取り組んでいきました。基本的には、まず彼らが感じる良い音楽を彼ら自身に具体的/明示的に気づいてもらうこと、それをよりよく曲の文脈に反応させるための多少のヒント、その上でそれを支える技術、という順番。

今回、彼らのレッスンのために各大学合唱団員の仲間たちが一緒に歌ってくれていました。この「ひたむきさとひたむきさの対面」もまた、みていて幸せなものでした。彼らの中に確かな信頼関係があるからこそ、そこに例えば指揮者が音楽的可能性を提示できた時、それが勢い良く、充実したサウンドとして返ってきます。「技術」「経験」「自信」とかそういう意味では大人の合唱団のほうが勝っていることも多いだろうし、その意味で若者に物申したい方も少なくないでしょう。一方で、大学生の彼らの、もしかしたら足下の覚束ないこともあるかもしれないけれど、それ故の純粋さ、柔軟さ、実直さは、むしろ大人の方がはっとして、思い出してみるべきことなのかもしれません。そしてその柔軟さにこそ、合唱の大きな可能性があるように思います。